中野


京極夏彦氏の作品には、色々な土地や場所が登場してくる。特に「京極堂シリーズ」と呼ばれるシリーズは「中野区」がよく出てくる。主人公の中禅寺が中野に住んでいるという設定なので、自然と周りの登場人物も中野近辺で仕事をしていたり住んでいたり。そして集まる場所がいつも中野の眩暈坂上にある「京極堂」なのだ。
今回は、この京極堂がある「眩暈坂」にスポットを当て、七樹が実際に中野に行き眩暈坂では?と思われる坂を散策してみた。


■眩暈坂

眩暈坂は実際に存在しない。創作であるので当たり前ではある。
が、やはりファンなら一度くらい眩暈坂を探しに中野をうろついたに違いないと思うのだが、これは七樹だけかもしれない(苦笑)
それでは、眩暈坂とはどの辺りにあるのだろうか。

姑獲鳥冒頭によると、「京極堂は隣町の境にあるので、隣町からの客が多い」とあるので中野区との境に近い場所と考えてみる。試しにこの「隣町」というのを「区」として推測しながら進めていく事にしよう。
中野区は、新宿区、杉並区、渋谷区、練馬区に囲まれている。
七樹はまず「哲学堂」を考えた。ここは確かに坂ではある。上りきると新青梅街道があり、右側が新宿区西落合地区に行くことが出来る。丁度、新宿区と中野区の境ではある。
それから、中野通りの「十貫坂上」ここは中野区と杉並区の境であり、鍋屋横丁と呼ばれる商店街と繋がっている。
前者の坂が一番眩暈坂の印象に近い物があるのだけど、「ダラダラ坂」というのを考慮すると後者の「十貫坂上」が眩暈坂に近いのではと思った。

七樹はこの日、中野区は十貫坂を目指してみた。


 中野通りの十貫坂上交差点。


向かって左側に行くと中野坂上方面。新宿区である。右側に向かうと杉並区和田地区に行く。

今回は左側の道を進んでみたのだが、どうもこの坂が「十貫坂」という坂のようだ。↓

杉並区和田地区から十貫坂上を見上げる形で撮影。


この坂、ダラダラしてるし凄く長い坂道。
自転車でボーっとしていると気付いたら猛スピードになっているので事故には気をつけないといけない。
上る時が大変だった。眩暈どころか気を失う所だった(笑)


ここで気付いたと思うけど、これは確かに坂道でダラダラ坂ではあるのだが、こうなると杉並区から中野区に行く。という形になってしまい、自然に関口君の家の方向が「杉並区」になってしまう。
関口君は中野区在住であり、中野駅から中禅寺の家と関口君の家はどちらかというと関口君の方が近いというのが「百器徒然袋〜雨/山嵐」に書いてある。
ただ、眩暈坂のモデルがもしかしたらこの坂かもしれないワケで。
ダラダラした坂なんかどこにでもあると思う人もいるかもしれないが、そこはそれ。


ちなみに、十貫坂の脇道にこんな坂を発見。


 



個人的な「眩暈坂」イメージにぴったりきたこの名も無い坂道。
少しだけ坂を上る小説家のように歩いてみたくなりました。



後記

今回は眩暈坂を探すという事で、ミーハー根性だけで行きました(笑)
こういう小説縁の地などは、「ここ!」という決まりはないと思います。
見て歩いた人が「イメージに合う」と思ったところがその人にとっての「場所」なのだと思うのです。
七樹はそれが偶々「十貫坂」が一番近いと思っただけですので、決め付けているワケでもないです。
小説縁の地、歩いていると登場人物になったような気がして、なかなか楽しい物です。
今後もどんどん散策していきますので、皆様どうかついてきてください(苦笑)